携わらせていただいた全ての仕事の内容、その時々の企画・構成の意図は、今でも鮮明にご説明できるほどに、全て、思い入れたっぷりに設計・施工をさせていただきました。
その中から、いくつか印象に残った出来事を紹介させていただきます。
お打ち合わせを開始させていただいたお客様との2回目の出来事。
そのお客様は複数の設計事務所様やハウスメーカー様とお打ち合わせをしていました。
デザインや間取り、についてはしっかりしたイメージをお持ちで、自然素材を使っての家づくりをしたいとのことで、打ち合わせがスムーズに進むと思っていた矢先の出来事でした。
お客様:
「リビングはくつろげる空間にしたいので、できるだけ広くとりたいんです」
「冬のために床暖房を入れたいですし」
「天井のスペースを物置に使いたいのです」
この時点で床暖房をオススメできないことを判断しました。
もちろん、床暖房を否定するわけではありませんが、この場合、床暖房を入れる理由が見あたらなかったのです。つまり、自然の風で充分に夏は涼しく、室内の断熱効果で充分に冬は暖かい状況がつくれるのです。
私は次のように提案しました。
宮武:正直に申しますと床暖房は必要ないと考えます。
お客様:それはなぜですか?
宮武:長く住める、快適な空間をつくることを優先して考えているのですが、自然素材の床を使いつつ、床暖房を入れてリビングを広くとると、光熱費がどうしても高くなってしまいます。
お客様:はい。

宮武:光熱費や家づくりそのもののコストもふくれあがってしまいますので、屋根断熱と吹き抜けを提案させていただきたいのです。
お客様:吹き抜け、ですか。
宮武:はい。まずリビングについてですが、面積を広くとるよりも、縦に広くとることもご検討してみてはいかがでしょうか?コスト的にも、気持ちよさ的にも横に広くするよりもオススメです。
お客様:吹き抜けはいいですね。
宮武:ええ。快適さは面積の広さからだけ来るわけではないですからね。圧迫感を感じない空間にするのです。
お客様:屋根断熱、というのは?
宮武:屋根断熱は部屋の保温効果を高めるものだと思っていただいて間違いありません。無垢材の効果と共に冬は暖かく、夏は涼しく。といった空間になります。
お客様:それで床暖房がいらないのですか?
宮武:ええ。充分に保温効果を得られます。天井断熱という方法もあるのですが、屋根裏に物置をつくるなら、天井断熱のほうが良いでしょう。
お客様:屋根断熱なんて初めて聞きました。
宮武:そうでしょうね。1階は涼しくて、2階が暑いというご経験なされたことがおありだと思いますが、それは断熱されていないからなんです。本来、人間は自然の風だけで過ごしていけますから、あまり必要の無いものと言えるでしょう。今回は2階建ての家ですが、エアコンも一台で充分です。吹き抜けと断熱で家全体に行き渡ります。
お客様:健康と住んだ後のコストを考えるとそのほうがいいですね。
屋根断熱と無垢材の保温効果は住んでみないとわからないことですが、よほどのことが無い限り、床暖房や部屋ごとのエアコンを用意するまでもありません。健康面やコストのことも考えると、キチンと風のとおり道をつくって、断熱してあげることで快適な住空間をつくることができます。




























